体たらく継続により、一年近く更新が滞っておりましたね…
小田原城天守の構造について、これまでの調査研究でわかったことを少しづつ綴るのも良いかと思ったのですが、実は日本建築学会に提出した論文が査読を通りましたので、まずはここにご紹介しておこうかと思います。
『日本建築学会技術報告集』https://www.jstage.jst.go.jp/article/aijt/29/71/29_471/_article/-char/ja
小田原城天守に関する史料として3つの天守模型が知られていますが、その中でも「東大模型」と呼ばれる3重3階の天守模型についての調査研究で、特にその構造について新たな知見がありました。
従来の構造史では過渡期的な技法とされていた「互入式通柱構法」(現存天守では松江城にみられます)と総通柱が併用されていること、「廻り番付」と呼ばれる形式から、各通柱の配置とそれらを相互に繋ぐ指物との架構に密接な関係がみられました。
「東大模型」_1階平面図
「東大模型」_通柱配置図(断面)
この成果がすぐさま何かに繋がるというわけではありませんが、城郭史上、非常に貴重な模型であることを改めて明示できたかなと思っています。ご感想などあればお聞かせください。